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使い方 / v0.3

PitCall の使い方

手札の判定だけでなく、場に出たカードを記録することで残りシューの構成を推定し、統計的に有利なときだけベーシックストラテジーから外れる「カウント例外(デビエーション)」、そして予算に対して今いくら賭けるべきかまで反映する仕組みを説明します。

§1

基本の操作手順

  1. 新しいシューが始まったら「🔁 新しいシューを開始」をタップ。ランニングカウント・トゥルーカウントが0にリセットされます。
  2. デッキ数(6 / 8)を設定。実際に使っている卓のデッキ数に合わせてください。トゥルーカウントの計算に直接影響します。
  3. 予算を「ベットサイズ」欄に入力する。現在のトゥルーカウントから推奨ベット額が即座に表示されます。可変バンクロールにすると、ハンドごとの損益で残高が更新されます(詳細は§6)。
  4. ディーラーのアップカードと、自分の手札をタップ。合計とハード/ソフト/ペアの判定、推奨アクションが即座に表示されます。
  5. 見えている他のカードも記録する(任意だが精度に直結)。他のプレイヤーの手札、勝負後に開かれたディーラーのホールカード、以前のハンドで見えたカードなどを「場で見えたその他のカード」に追加します。
  6. 推奨アクションの下に「カウント例外」の表示が出たら、それがベーシックストラテジーからの逸脱です。表示がなければベーシックストラテジー通りが最適という意味です。
  7. ハンドが終わったら「🔄 次のハンドへ」。手札はリセットされますが、カウントはそのまま引き継がれます(このハンドで見えたカードは自動的にシューの記録へ加算されます)。
  8. シャッフルされたら必ず「🔁 新しいシューを開始」。これを忘れるとカウントが実際のシューとずれます。
カウントを使わずベーシックストラテジーだけで判定したい場合は、「📊 カウント考慮」トグルをOFFにしてください。手札とディーラーのアップカードだけを見た固定の推奨に戻ります。
§2

用語の定義

ランニングカウント(RC)

見えたカード1枚ごとに、Hi-Loシステムの値を足し合わせた合計値。2〜6 = +1、7〜9 = 0、10・J・Q・K・A = -1。低いカードが多く出るほどプラスに、高いカード(10・A)が多く出るほどマイナスに動きます。

残りデッキ数

(使用デッキ数 × 52 − これまでに見たカード枚数) ÷ 52。シューが進むほど小さくなります。

トゥルーカウント(TC)

ランニングカウント ÷ 残りデッキ数。同じランニングカウント+4でも、残り5デッキなら+0.8、残り1デッキなら+4と意味が大きく変わるため、これを揃えて比較できるようにした値です。デビエーションの閾値はすべてこのトゥルーカウントを基準にしています。

デビエーション(カウント例外・インデックスプレイ)

特定の「手札 × ディーラーのアップカード」の組み合わせに限り、トゥルーカウントがある閾値(インデックス)を超えたとき/下回ったときだけ、ベーシックストラテジーの推奨から切り替える例外ルール。以下の§4がその一覧です。

§3

なぜ残りカードの構成で最適解が変わるのか

ベーシックストラテジーは「シューに残っているカードの構成が平均的(新品のシューと同じ比率)」だという前提で計算された最適解です。しかし実際にはゲームが進むにつれて特定のランクに偏りが生まれます。たとえば10・J・Q・K・Aが相対的に多く残っている状況では、追加の1枚でバーストする確率が上がる一方、ディーラーも同様にバーストしやすくなるため、際どい手札では「引かずに止まる」方が得なケースが増えます。逆に低いカードが相対的に多く残っている状況では、追加の1枚でバーストしにくく、ディーラーがブラックジャックになる確率も下がるため、「引く」「倍賭けする」方が得になる場面が出てきます。

この偏りを数値化したものがトゥルーカウントであり、偏りが実際に損得を逆転させるほど大きいと判明している組み合わせだけを列挙したものが、次のデビエーション表です。

§4

デビエーション表(Illustrious 18)

カードカウンティング研究家 Don Schlesinger が示した、6デッキ・ディーラーS17・DAS可のルールでEV改善への貢献度が最も大きい18パターン。この18個だけを覚えれば、理論上可能な全デビエーションの価値の8〜9割を回収できるとされています。サレンダーがある卓向けの「Fab 4」(サレンダーの例外4パターン)は、PitCallのルール上サレンダーが無いため対象外です。

手札 vs アップカード基本の行動例外の行動閾値(トゥルーカウント)
インスシュランス取らない取る+3 以上
16 vs 10ヒットスタンド0 以上
15 vs 10ヒットスタンド+4 以上
10,10 vs 5スタンドスプリット+5 以上
10,10 vs 6スタンドスプリット+4 以上
10 vs 10ヒットダブル+4 以上
12 vs 3ヒットスタンド+2 以上
12 vs 2ヒットスタンド+3 以上
11 vs Aヒットダブル+1 以上
9 vs 2ヒットダブル+1 以上
10 vs Aヒットダブル+4 以上
9 vs 7ヒットダブル+3 以上
16 vs 9ヒットスタンド+5 以上
13 vs 2スタンドヒット-1 以下
12 vs 4スタンドヒット0 以下
12 vs 5スタンドヒット-2 以下
12 vs 6スタンドヒット-1 以下
13 vs 3スタンドヒット-2 以下

「10 vs 10」は手札の合計が10のハードハンド(例: 6+4、7+3)を指し、ペアの「10,10」(10と10を2枚持っている状態)とは別項目です。PitCallはこの2つを区別して正しく判定します。

末尾がマイナスの閾値(13 vs 2 など)は「トゥルーカウントが低い=高いカードが相対的に少ない」状況で、あえてベーシックストラテジーより多く引きにいく例外です。感覚に反するため見落としがちですが、実際に頻度は低くありません。
§5

6デッキ/8デッキの切り替えについて

デッキ数の設定は、トゥルーカウントの計算式の分母(残りデッキ数)に直接使われるため、実際に使っている卓の枚数に必ず合わせてください。ここが合っていないとトゥルーカウント自体がずれます。

一方でデビエーション表(§4の18パターンの閾値)そのものは6デッキ・S17・DAS可を基準にしたものを、8デッキにもそのまま使っています。デッキ数が変わると理論上インデックスが1前後動くケースがありますが、6デッキと8デッキの差は実務上ごく小さく、多くのカウンティング教材でも共通の表を使うのが一般的です。より高精度な8デッキ専用の指数が必要な場合は、専門書籍(Don Schlesinger, Blackjack Attack 等)を参照してください。

§6

ベットサイズの考え方(ケリー基準)

ベーシックストラテジーとデビエーションは「今の手札でどう打つか」の最適解ですが、ベットサイズは「今このハンドにいくら賭けるか」という別の問いです。カウントが高い(トゥルーカウントが高い)ときほど残りシューがプレイヤーに有利に偏っているため、賭け金を大きくし、逆にカウントが低い・マイナスのときは小さく賭ける(あるいは最低額に留める)のが、期待値を最大化する基本セオリーです。

推定プレイヤーエッジ

エッジ ≈ -0.5% + 0.5% × トゥルーカウント。6〜8デッキ・S17・DAS可・ベーシックストラテジーでの標準的な近似値で、トゥルーカウント0のとき house が約0.5%有利、トゥルーカウントが1上がるごとにプレイヤー側へ約0.5%動くとされています。

ケリー基準

資金を長期的に最大成長させる観点から導かれる最適賭け金比率。賭け率 = エッジ ÷ 分散(ブラックジャックの分散は概ね1.3)で「予算の何%を賭けるべきか」を算出します。エッジがマイナスのときはケリー基準上の最適解は「賭けない」ですが、PitCallでは最低ベット額(設定していれば)を推奨します。

ケリー係数(1/4・1/2・フル)

フルケリーは理論上最速で資金を成長させますが、変動(分散)が非常に大きく、実際の資金がすぐに大きく上下します。実務では半分(ハーフケリー)や1/4に抑えるのが一般的です。PitCallの既定値は1/2ケリーです。

固定予算 / 可変バンクロール

固定予算は、セッション開始時に入力した金額を毎ハンド共通の基準として使い続けます。可変バンクロールは、ハンドごとの損益を入力して実際の残高を追跡し、その時点の残高を基準に次の推奨額を計算します。可変バンクロールの方が理論的には正確ですが、毎ハンドの損益入力が必要です。

推定エッジの数式はカウント理論における一般的な近似値であり、ルールの細部(デッキ数、S17/H17、DAS可否など)によって実際の値は変動します。またケリー基準は「賭け金の何%が理論上最適か」を示すだけで、勝敗そのものを保証するものではありません。資金管理の最終判断は自己責任で行ってください。
§7

限界と注意点

§8

出典

Illustrious 18の数値(§4)は、以下2件の独立したソースが完全に一致することを確認した上で採用しています。

いずれもDon Schlesinger Blackjack Attack – Playing the Pro's Way を一次情報として引用しています。ベーシックストラテジー本体の出典は 設計書 を参照してください。

ベットサイズ(§6)の「-0.5% + 0.5%×トゥルーカウント」というエッジ近似式と、分散1.3を用いたケリー基準の式は、Wizard of Odds「Introduction to the High-Low Card Counting Strategy」およびBlackjackInfo「Blackjack School - Money Management」に記載の一般的な数値を採用しています。